mijinの情報がXEMの価格を上げる理由に関する考察っぽい何か

ここ数日、mijinを使ったセイノーや中部電力の実証実験、COMSAの提供と情報が相次いで出てきたおかげで、XEMの価格が上がっている。
(2017/08/01の始値が18.85円 → 2017/08/03の高値が26.90円、これを書いている時点で25.70円くらい)

で、いつも通りTwitterを眺めていると、「mijinの情報が出たらXEMの価格が上がる理由が分からん」というツイートをしている人を何人か見かけた。
それを見て、「確かにそうだよなぁ」という思いと「え、当然上がるでしょ?」という思いが半々くらいで脳内に浮かんで来た。

この自分の反応がちょっと面白いなぁ、と思ったので関連を(仕事中に)少し考えてみた。

注意:以下の内容は個人の見解です。あと、あんまり中身は無いです。

 

XEMの価格が上がった場合のmijinへの影響

まず、現時点ではXEMの価格が上がっても、mijinの価値が大きく上がるとは思えない。

そもそも「mijinの価値」というのがなんなのか分からないけど、少なくともmijinの中で使われているトークン(アセット)の価値が上がるわけでは無い。
「XEMの価値が上がる → NEM(XEM)の知名度が上がる → mijinの知名度が上がる」という流れはあるので無関係では無いけど、ややこしくなるのでこっちのパターンはとりあえず置いておく。
今回考えるのは逆のパターン。

NEMとmijinの差異と共通点

・・・と、その前に前提知識としてそもそもmijinとNEMの違いや共通点を簡単にまとめておく。

  NEM mijin
環境(対象) パブリックチェーン プライベートチェーン
管理者 非中央集権(※1) 中央集権(※2)
通信速度 普通 早い(※3)
サーバースペック 低い(※4) 高い(※3)
1秒あたりの処理量 少ない(※5) 多い(※3)

※1:現時点では一部コアチーム依存なので、そうとも言い切れない部分もあるけど(Catapult後は完全オープンソース?)
※2:テックビューロ社の商品(製品、サービス)
※3:導入企業がそれなりに金を掛ける(環境を整える)ならと言う前提なので、金額を抑えれば相応の結果になるはず
※4:低くても問題無いと言う意味なので、ハイスペックなサーバーを立てても構わない
※5:現在の流通量では支障ないレベル(今後XEMの流通量が増えたらどうなるか不明)

あと、上に書いていない大きな違いとしては、mijinは企業や団体が管理するので(プライベートチェーンなので)、その企業が辞めたらデータも何もかも消えるというリスクはある(企業倒産とかサービス終了とか)。
なお、プライベートチェーンだからmijinはデータを改ざん出来るのでは?と言う勘違いをするかもしれないけど、基本的には無理。
(厳密にはノード(サーバー)が1台とかならできなくもないけど、そもそもそんなことをする頭の悪い企業はブロックチェーン技術を使うべきでは無い) 

共通部分としては、ベースが同じなのでどっちもセキュリティが高いとか、API(機能・仕様・規格みたいなもの)の互換性が高いので開発者は作ったロジックをどっちにも使える(流用できる)とか、mijinの開発にNEMのコアデベロッパーが参加している(ので開発者の力量の差が少なく、両方の知識を持った人が作っている)等。
そもそも、NEMとテックビューロ社が協力関係にあるというのが前提事項なんだけど、ここ数日でmijinを知った人達の中には、知らない人が居るのかもしれないので一応記述。

mijinの情報が出た場合のNEM(XEM)への影響

さて、本題。

まず、上に書いたとおりNEMとテックビューロ社は協力関係にある上に、共通の開発者も存在するので双方向で開発に関する情報共有がなされているのは確実。
更に言えば、NEM財団にはテックビューロ社の社長である朝山さんが理事として参加し、テックビューロが発表したCOMSAの協議会にはNEM財団のLongさんやJeffさんが参加しているので、密接な関係と言える。

トップレベルでも開発者レベルでも情報が共有され、APIに互換性もあるということは、つまりどっちにも同じ機能を実装しやすいということでもあり、前例(実績)を作れるということでもある。

前例を作れることの何が良いかというと、前例で得た問題、課題、利点等を知ったうえで後続は実装することができるので、後続はローリスクハイリターンを見込めるということ。
そして、前例にはNEMとmijinのどっちがなっても良い。

なので、mijinでこんな実証実験を行ったとか、こんなサービスを出したという場合、NEMにもその結果や手法を流用でき、類似サービスを展開出来る・・・可能性がある。

 

現実には、プライベートチェーン(範囲限定)特有のサービスだとパブリックチェーン(全世界)への適用は難しかったりするけど、それでも無視できない部分は多いはず。
※ちなみに、COMSAに関してはパブリックとプライベートをつなぐ位置づけになるので、扱いは異なる

実際、何かを開発する際にまともなプロトタイプ(のソースコード)やテスト結果があるだけでも十分な恩恵があるし、その規模が大きかったり、実用レベルでのテスト結果だったりすれば非常にありがたいのは開発者ならわかるはず。
(と言っても、企業情報なので流石に詳細結果は出ないだろうけど)
特に、そろそろ出てくるであろうCatapult(簡単に言えば大型アップデート)では機能追加や処理の高速化等があるようなので、先に実装するmijinでの前例はNEM側にとっても非常に有益なものとなる。
なので、mijinで何らかのポジティブな情報が出た場合、結果的にXEMの価格が上昇するということになる。

 

というのが開発者目線で考えた影響だけど、そんなことを考えてXEMを買ってる人の割合は少ないだろうから、一番のポイントは単純に心理的なものだと思う。

mijinで何か情報が出た!(よく分からんけど凄そう) → 関連するのは何だ?(何の価値があがる?) → XEMがある!(買って儲けよう!) という流れなんじゃないかな?

・・・こう書くと流石に馬鹿っぽいけど、株が集団心理によって値段が乱高下するのと同じく、暗号通貨も集団心理によって乱高下するのは事実だと思うので、結構な割合でこのパターンだと思う。
実際、Twitterとか眺めていても、そもそもNEM(XEM)がなんだか分からないけど買ったという人がそれなりにいたり、NEMのTelegram(英語)でもmijinの情報に興味を持つ人が多数いたりとか、なかなか侮れないものがある。
※NEM(XEM)に限らず、暗号通貨は割とこんな雰囲気があって、まだまだ知名度や理解度が低い気がする

ということで、個人的な結論としては、mijinが前例を作ることでNEMにも上手いこと利用できる可能性がある点と、ポジティブな雰囲気がXEM購入者にも伝搬する点、と言うのがXEMの価格上昇の理由かな?
もしかしたら、他にも色々要素があるかもしれないけど、しっかり調べたわけでもないので、とりあえず今回はこんなところで。

 

補足:公式資料

NEM公式ブログの記事

blog.nem.io

mijinの製品資料(本文中のPDF参照)

mijin.io